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近江西、風の通り土間の家レポート~2019年度グッドデザイン賞受賞~
10月の半ばに、2019年度グッドデザイン賞受賞の「近江西、風の通り土間の家」の社内向けの説明会が行われました。
あいにくのお天気で、小雨の降る中を駅から徒歩で下阪本にある分譲地「グレイスアヴェニュー大津・下阪本」に建つ「近江西、風の通り土間の家」へと向かいます。
「グレイスアヴェニュー大津・下阪本」はJR湖西線「唐崎」駅から徒歩12分、ゆったりとした全50区画の分譲地です。
複雑な道ではないのでのんびり歩いてゆくと、ほどなく分譲地ののぼりが見えてきました。
外観
「近江西、風の通り土間の家」外観は白を基調とした和モダンといった雰囲気。木の格子が印象的です。
雨の中でもしっとりとした雰囲気が感じられます。また、家の前に立っても圧迫感を与えないのは、正面側の屋根の軒高が低くなるよう設計されているからとのこと。
格子戸は可動式で、普段は自転車など玄関前に置いた物の目隠しとして、気候の良い時期は玄関引戸を開けはなしても気にならない目隠しとして使えるということです。スタッフが動かしてみましたが、なかなかスムーズでスマートに目隠しができました。デザインだけでなく実用性も兼ね備えているんですね。
MUSHIKO窓も外観デザインの大きなポイントになっています。
外壁の色に合わせた格子はとても印象的。伝統的な虫籠窓は垂直ですが、MUSHIKO窓はわざと傾斜を付けて、家を正面から見た時に人を迎え入れるデザインになるよう工夫しているということでした。
階段の窓から裏を見ると、ベンガラで塗られているといった細かいところにも、地域の伝統への敬意が感じられます。
土間
中に入ると、広々とした空間が広がります。
全体に壁で区切られている箇所が少ないためか、白い壁の反射効果か、小雨振る薄暗い空模様でも、中に入るとパッと明るく感じられました。
入ってすぐは土間。階段下も有効に使ってあるので、図面で見た印象よりゆったりとしています。
土間は通り土間になっていて、家の中央に配置された土間が水回りとリビングを緩やかに区切っています。
通り土間はタイル敷き、そのほかの床は木目を生かして木の温もりを感じられる無垢のフローリング。
正面には大きな窓とストーブ。
今いるのが住宅地であることを忘れそうです。
吹抜け
吹抜けを見上げると、天井付近に細長い窓が見えます。
これはこの地域にみられる「越屋根」を現代的な装置として再構築したパッシブルーフ。
「風の通り土間の家」の名のとおり、風と光が通り抜けていきます。
吹抜けの上部に配置することで、室内の空気の循環を促す効果もあるとのこと。
また、真っ白な壁に二階の廊下の黒いアイアンの手すりがアクセントを添えます。
スタッフが、熱心に見学していますね。
それぞれが専門分野の箇所に注目していて、話を聞いているだけでも面白いです。
吹抜けの大きな窓の前には、ペレットストーブが設置されています。このペレットストーブ、薪ストーブに比べて扱いやすく、煙が出にくいとのこと。
ストーブのまわりはタイル敷きなので、手入れがしやすいのもいいですね。
2階
2階に上がると、奥に向かって左手に畳のスタディコーナー、右手に寝室と子ども部屋が配置されています。
スタディコーナーと子ども部屋の前の廊下はベランダで繋がっています。
吹抜けの写真の壁面に四角い穴がぽつぽつと並んでいるのにお気づきになりましたか?これは「成長を感じるカベ」と名付けられたもの。穴の高さをわざと色々にしてあるので、子供の成長に応じて覗ける高さが変わり、成長を感じられるようにとの思いが込められています。
大人でも、覗くとちょっと楽しくなる仕掛けです。
子ども部屋を見てみると、とても個性的なスライドドアが設置されていました。
これは通し戸というアイテムで、幅広サイズのドアの配置加減で、引き戸を閉めていても光や風を取り込めるます。
自然の風を通しつつも、廊下からの視線を遮る工夫がされていました。
テラス
テラスに一歩出ると、田んぼと神社、比叡山の山並みが目に飛び込みます。
涼しい風が吹き抜けるテラスには、テーブルセットが置かれていました。
このテラスは、あえて間取りに凹凸が出るように作られており、吹き抜ける風を受けて室内へと導くという役割を持っているそうです。
スタッフからは
「夏はこのテラスでお昼寝がしたいね」
「ゆったりビールを飲むのも良いよ」
なんて声も。
説明会
さて、参加者が続々とリビングに集まり、社内向けの説明会が始まりました。
まずこの家のコンセプトであるパッシブデザインについて、プロジェクトメンバーからの解説が行われます。
パッシブデザインとは、太陽光や日射熱といった自然エネルギーを取り入れたデザインのこと。
しかし、「これからのパッシブデザインは単に省エネルギーだけではなく環境の潜在力を活用を目指したい」という思いでプロジェクトが進行されました。
今回のプロジェクトは滋賀県立大学金子研究所と弊社の新商品プロジェクトチームによる共同プロジェクトです。
気候や地形、文化といった地域性を考慮し、京阪滋エリアを大きく7つの地域に分け、それぞれの地域に合ったパッシブデザインを作るため、様々なデータを計測し、フィールドワークが重ねられたとのこと。
そして、様々なデータから近江西のためのパッシブデザインを構築し、風・光・熱のシミュレーションを重ねた後「近江西、風の通り土間の家」が建てられました。
この近江西のパッシブデザインを間取りやアイテムとしてに活かした「近江西、風の通り土間の家」は、文化や歴史といった時間的要素の評価、現代的なツールの活用を通じて、地域性の豊富化・視野の広い取り組みに昇華させたことが評価され、2019年のグッドデザイン賞を受賞しました。
また、金沢工業大学の日本建築学会での発表も今年の9月に行われ、実際に完成したモデルハウスでのデータの実測も行われました。
パッシブデザイン7地域モデルについて、「近江西、風の通り土間の家」の詳しい設備などの説明はこちらをどうぞ
パッシブデザイン7地域モデルとは(リンク予定)
2019年度グッドデザイン賞受賞~近江西、風の通り土間の家(リンク予定)
夜外観
説明会が終わり帰路につく前に「風の通り土間の家」を振り替えると、昼間とは違って窓から光が優しくこぼれる外観に変わっていました。
格子は夜でも視界をやさしく遮り、中からこぼれる光をやわらかく演出します。
弊社は高い断熱性能や耐震性能、自社による定期点検など、確かな技術とアフターサービスでよりよい家づくりを進めていますが、そこにとどまらず、より新しいアプローチにもチャレンジしていることがよくわかる説明会でした。
この「近江西、風の通り土間の家」はご見学も受け付けております。
グッドデザイン賞で評価されたパッシブデザイン、地域に合わせた快適で広々とした空間をぜひご体感ください。
- 敷島住宅設計部が執筆者です。お客様の住みやすさを考えた暮らし方提案をしています。
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